ダイバーシティ&インクルージョンについて

ダイバーシティとは

ダイバーシティの定義はいろいろな言葉で表されていますが、最もシンプルな表現は “人々の間の違い”(Difference between people)のことをいいます。ほかに“異なることと同質なこと”という表現をしている場合もあります。日本語では多様性といわれています。

日経連の定義は:異なる属性(性別、年齢、国籍など)や従来から企業内や日本社会において主流をなしてきたものと異なる発想や価値を認め、それらを活かすことで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し利益の拡大につなげようとする経営戦略。また、そのために、異なる属性、異なる発想や価値の活用をはかる人事システムの構築に向けて連続的かつ積極的に企業が取り組むこと。
(「ダイバーシティ・ワークルール研究会」報告書 2002)

一般的なダイバーシティの切り口は、見える違い(外見、性別、年齢、働き方の違いなど)、見えない違い(経験、育った環境、文化、宗教、学歴、地位、所属する組織)および心理的傾向(価値観、キャリア志向、組織観、職業観、ライフスタイルなど)があります。

ダイバーシティの側面(例)

 

過去に組織の中でモノカルチャーが良いと考えられていた時は、“みんな同じ“ということが重要で、人と違うことは、マイノリティの集団と見られるか、もしくは出る杭は打たれて、排除されてきました。

単に多様性という場合は、異なる人が混在している状態を指し、その人たちを活かすというところまでは意味しません。これをDiversity in a boxといい、多様な人を採用はしたが、その人たちの能力まで活かされていない状態のことです。これではせっかくのタレントを失うことにもなりかねないため、優秀な人材を確保し、活かすことが、重要な課題となってきました。
そこで、異なる人を受け入れ、かつその人たちの持つ力を組織に貢献できるようにするために、Inclusionという言葉とセットで使われるようになりました。これはDiversity Managementともいいます。

GEWELが考えるD&Iという概念は、“人が経営の基盤である”という確固とした考えに基づいて運営されていることです。人に対して、いくらでも置き換え可能だという認識では、本来の意味のD&Iが風土として根付くことは難しいと考えます。

 

インクルージョン(Inclusion)の持つ意味

本来、人はひとり一人が異なる存在です。異なることを尊重し、個人個人の能力を引き出し、それが組織の価値となるよう活かすことで、個人と組織の持続的成長につながっていきます。
ある組織では、DiversityよりもInclusionの意識をどれだけ浸透させるかを課題として、D&Iを推進しています。
しかし、多様な人が存在すると、価値観や信念、優先順位などの違いにより、緊張(tension)や対立(conflict)が自然と起きてきます。
なぜこのようなtensionやconflictが起きるのか?は永遠の課題です。人はそれぞれ自分を基準としてものを考えます。しかし、自分以外の人が何を基準に判断し、考え、行動しているのかについては理解しにくいのです。
これを避けて、建前だけで組織を運営していると、構成員をMotivateすることもできず、組織に対するRoyaltyも高く保つことができません。

日本でのこれまでのD&Iでは、Conflictについてお互いに話し合い、どう折り合うかについての、トレーニングはまだ一般的にはなっていません。
一般的なDiversityは見える違いについての多様性(性別、世代、障がいの有無など)を取り上げており、できるだけそのセグメントを組織に多く取り入れるというところまでです。また、D&Iは女性の問題と考えられている場合もあります。

Inclusionの考えを理解するためには、Insider vs Outsiderという対比で考えてみると、少し理解が進みます。誰もが双方になりうるわけですから。
これは、企業合併の例で考えるとわかりやすいと思います。*

企業合併を例にD&Iを考える

A社とZ社が合併し、社員は一緒に働くことになったとします。そこでは各種制度をはじめ、会議運営方法やレポートの仕方、経費精算の仕方などさまざまな慣習が異なります。同じ業務を行っていたとしても、社内用語も異なります。ここでどちらかの企業が使っていたものを社内ルールとした場合、慣れていない方はそれなりのいらだちを覚えるでしょう。さらに誰にでもある無意識の思い込みが加わります。

組織でD&Iを推進していく場合には、どのセグメント(構成員の層)に対して、何を行うことが最も企業戦略とマッチするのか?を考える必要があります。
安易に一般的なベストプラクティスを自社にあてはめることは、基本的に無理があるといわれています。組織としての価値をどう生み出すか?そこには構成員だけでなく、顧客、株主、サプライヤーなどのいろいろな人とのかかわりがあり、もっと広いGlobalおよび地球規模での関わりのもとに、初めてその目的を達成することができると考えられます。

以上のような目に見える違い、みえない違い、葛藤や感情、個々人の持つ思いこみなどを十分に理解しつつ、地球規模の視野でD&Iを実践していく旅にゴールはありません。まさに成長し続ける終わりのない旅になるのです。
Diversity & Inclusionの考えを組織内に取り込むプロセスのイメージは以下のようになります。

ダイバーシティ&インクルージョンの目的